過日1月に イラク北部において, IS(暴力殺戮手段集団)によって殺害されたジャーナリスト後藤健二君は,高校時代 私の教え子でした.この日以降 哀悼の意では収まらない 心の疼きを抱えながら 何かを叫んでいました.そして ある日 目覚めの朝,’啓示’があったのです.後藤健二は 復活・再生し,永遠に 彼の希望・こころざし・意志は 消えない/と.そうさせないといけないと.一つの事件があり,あたかも 日本政府もその結末を待って終わりとすることのないように.それで 最初の取り組みとして,追悼集会を催す・催さないといけないと.
次の提案をします.あなたも 共同でともに!※企画賛同には「いいね ポッチ」を
時 ; 未定
所 ; 東京文京区目白 カテドラル礼拝堂(丹下健三作品)
追悼礼拝; 田園調布カトリック教会,および イスラーム教とも共同で
アッピール;ノーベル平和賞,および 世界平和ジャーナリスト賞の請願
メッセージ; 暴力についての誓願;願いと誓い
メッセージその1;
暴力は,人を支配し,人を殺し,生活を破壊しようとする力である.暴力では,国家は統治できない・社会は共同できない.暴力からは 何も 生み出せない.命も,生産価値も,文化も. 人々の幸福も.
メッセージその2;
暴力に 暴力で対抗することでは,暴力は終わらない.それは 仕返しの繰り返し・報復の連鎖を生む.憎しみを互に増幅させる.
暴力には,震源があり,その震源には 憎しみのマグマがある.暴力には,凶暴な欲望がある.それを抜くこと・癒すこと・諭すこと.手を差し伸べること.暴力には,慈悲のベールで包み,優しさで抱きしめる ,そういう勇気が必要だ.平和は,安穏ではない.平和は そういう勇気の力だ.暴力をやめさせる・消すのは,そういう共同の力である.この力を支えにして,芽を摘むこと・核を潰すこと・降伏させること・恭順させること.
メッセージその3;
暴力の背景は,貧困であり,差別であり,それを餌食にするものである.これが,真に対決する化け物である.後藤健二君がメーセージを出したように,暴力によって 虐げられているものを 救出すること,手を差し伸べること,援助の具体的な行動をなすことである.これが緊急の課題である.そして,長きにわたって,系統的に,生活・経済・文化・政治の自立の力を援助することである.そして,国際的な共同の輪の中に手をつなげるようにすることである.著『もしも学校に行けたら』(汐文社)
集会文化企画;
演出;笠井 叡 ,踊り手;白川直子による
ラフマニノフの主題によるコンテンポラリーダンスでの表出 (2015年3月 世田谷パブリックシアター・ 天使館プロジュース公演内容が,彼の追悼のダンス表現であった.)
NHK様 番組取材,作成のお願い 2014.11.1
大リーグ;ワールドシリーズを終えて
Sジャイアンツ優勝の核心
投手バムガーナー,打者ペンスの凄さ
そこに 何があるのか.そのスタイルの秘密に迫る
今年のワールドシリーズは,Sジャイアンツが,ロイアルズを4勝3敗で破って,優勝した.その立役者は,シリーズ3勝(内実質1勝+)でMVP受賞の投手バムガーナーと,全試合出場・巧打連発で,○打数○安打の打者ペンスであろう.この二人がいなければ,優勝出来なかったといっていいだろう.Sジャイアンツは,この6年で,1年おきに3度WSで優勝しているのである.その勝利の決定力が,このお二人さんであることは,誰が見ても言えるであろう.
ところで,このお二人 両方とも そのスタイルは,従来のそれとは全く異なった投打であることが,観戦しながら,大変 気になっていった.‘何だ.このスタイルは’とその異形に,とまどい,何かそこに秘密があるのではと,それをつかみたいと思いながら,全試合を観戦していた次第である.
見てほしい.
投手バムガーナーは,従来からの野球投法と異なるのである; 大リーグの大半でやっている,相手バッターの強打に対して,強投するスタイルではない.すなわち 投法解析では,現在最も推奨されて,皆さんが目指すような《鞭のように撓って・腕を振って・手首を捻る投法》ではないのである.‘強スピン・スピードボール投法‘といっていいだろう.投手バムガーナーの投法は,これとは全く異なったコンセプトで投げているといっていい.撓らない・捻らない・うねらない.それでいて,ボールは結構速い.だから,NHKの解説者武田さんの見立てだと,「結構重い球」だそうだ.重いとは,ボールスピンが少ない,飛ばすのに打者の力が必要なボールということだ. だから,投手バムガーナーのそれは,《ハイスピード・近ナックルボール》と言えそうだ.
ボールに適度な回転があるときは,ミート角度範囲が広がり,加えて 反撥力が付き,打たれやすく,飛びやすい.近ナックルボールのときは,ミートポイントは,ボールの芯核5ミリであろう.これでは,凡打となりやすい.投手バムガーナーの投球というのは こういうボールなのだ.
何だコリャ! このスタイル どこかで見たことがあるぞ.そうだ.過って,日本のジャイアンツで投げていて,復帰後の桑田真澄投手のスタイルに近い. さらに,あの肩と腕の振りは,どっかで見たことがあるぞ.そうだ.桐朋高校バスケットボールチームが,やっていたスタイルだ.桐朋は,超進学校で1時間半の練習を週4日以内という不利な条件のもとで,都代表で全国大会に出場したものである.その時の監督は,金田伸夫氏である.投手バムガーナーの投法は,このフォーム;投法スタイルと同じである.これには驚いた.
打のペンスはどうだ.これまた,不思議なスタイルである.身体を捻らないで打って,打球は鋭く強い! しかも,打球は狙った高さ・角度方向に打てる.だから,打率がWシリーズ出場者のトップとなり,チャンスに巧打している.このスタイル;打撃コンセプト コリャ何だ,ということになる.このスタイルは,彼の歩き方,そして 瞬発ダッシュ時の走り方にも,フォームは統一されている.
どうして 彼の打球は 2塁打になることが多いのか を考察する.守備者2人の間を中心にした横軸での打球の確率分布と,ライナー性の打球で,縦軸の確率分布によって,ヒットの確率が決まる.ペンスの打法は,この確率の高い方向で,その高さ・角度で,正確に狙った方向に強打できる打法なのだ.5割に近い,4割の打法となろう.
そう! 2人のスタイル;フォームに共通の秘密がある.それは,日本の古武術研究家;甲野善紀氏の武術・身体動作理論だ.
※甲野さんの理論と身体運動の実際を見たい人には,次の文献をお勧めする.DVDが付いていて大変分りやすい.『甲野善紀 進化の過程』(学研2013.8/1);この著作を記号Aとする.及び 『古の武術を知れば 動きが変わる.カラダが変わる』(MCプレス 平成16年3月12日);こちらを記号Bとする.
身体運動・運用における甲野理論とは,私の把握では次のようなものである;
※以下の四則は著者による解釈による自己流のまとめであるのでアシカワラズ.
第一則;
捻らない・溜めない・うねらないで,体幹と部位の連動による,全身の共動で,身体を井桁原理で機能させる.
第ニ則;
捻らない・溜めない・うねらないで,抜く・入れる,浮かせる・沈ませるなど,岩の間の水が流れるようにスムーズに,連続的に作動させる.
第三則;
武術では対戦する相手,走るときは,地面と重力,そして,野球では,ボールに対して,動きの隙間(時間軸で絶妙のタイミングということ),動きの勘所(空間軸で絶妙のポイントということ)を掴んだ身体の作動
第四則;
甲野さんは,最近では,身体運動と心の働きとの関連を重視されているようです.相手(野球ではボール)の流れ・隙・勘所を読むということを 脳内機能で感知するとはどういうことか,これも重要な訓練であるということです.著書Aで紹介されている韓競辰さんとの体験で,《韓氏意拳》の意味をとらえています. これはおそらく,ブラジルの武闘家ヒクソン・グレイシーの卓越した技の発揮の秘密と同義であるのだろう.これはまた,モーシェ・フェルデンクライスの提唱する《フルデンクライス・メソッド: 身体の動きによる 脳・神経系,身体力・エネルギー系の連関訓練法》にも,通底するのであろう.
投手バムガーナーの投球,打者ペンスの 最初のオープンスタンスから入って,左足の摺り足で,飛んで流れてくるボールに正対するスタンスも,甲野理論でとらえられる.例えば,『A』p52「曲がり方 重心の横移動」を参照してほしい.
野球Baseballは,場面々で,個人に分かれてのプレー表現・発揮であり,武術・武道と同じく,個人の主体能力が極限まで発達させたスポーツであるである.その対象が,武術と異なって,ボールということに過ぎない. USアメリカで,《サムライ》が,武術の達人として人格イメージで,崇拝されている向きもあるが,野球の選手は,武術・武道家と同じなのである.身体動作の技と それを発揮させる脳内Figure,そして それを支える精神性の悟りへの道,彼らは,野球というスポーツでのサムライなのだ. その典型が,打者ペンスであり,投手バムガーナーである.風貌も 彼らは もはやサムライである.
大リーガーでプレーしている日本の選手は,この理論を重視してほしいものである.
青木・川崎が,そして,イチローが復活して,4割打者となることを期待する.それは可能だ!
日本の大リーガー投手は,故障が多い.田中・和田,そして今年のダルビッシュ・上原,大きい故障では,松坂である.彼らの投法は,大リーグの打者が強打で来るので,これに応じて,強投しているようなものである.すなわち 捻る・溜める・うねる投法である.これでは,身体に負担が掛かりすぎる.そして,これが 一箇所の腕・肘に集中すれば,間違いなく,やられる.このままでは,田中君も,ダルビッシュも潰れる!
これら投打とも,日本の選手が,故障なく,活躍できるようにしたい.そのためには,投法,打法の研鑽が大事だ.過っての 最強の優れた剣豪のように!である.それがサムライというものである.
国際的に活躍している 他のスポーツ選手にも
なお付け加えるならば,競技は異なるが, 世界テニスにおいては,この10年は,時速210キロのサーブが,ゲームの決め手となるようなトップの状況である.これでは,テニスの 競技としてのおもしろさは,退化である.ボールを一回り大きくして,このサーブ速度を200キロまで落とすことも考えうる.しかし,今 ここに,錦織圭選手が,世界テニスに新たな革命を起こそうとしている.錦織がやろうとしていること;210キロサーブに対して,少し下がって受けて,しかし,返球は鋭く,コースを突く.このレシーブリターンショットができるような打法とは,甲野理論だと思う.今 その形が見えてきて,もうチョッとで,素晴しいテニスの形が生まれる.そういう時代に我々は立ち合っているのだ.
サッカーにおいても,然りである.ナショナルチームにおいては,コンビネーションのシュート形がなく,日本選手のシューターにおいては,そのシュート力が 国際的に比較してもウンと低い.間髪をつくれない・読めない,弱い・外れる.ここでも,甲野理論が大事なようだ.勘が働いてない・瞬発的な身体動作が働いてないということである.
今日はここまで,ではまた さよなら・サヨウナラ
NHK様 この内容を是非 取材して,番組作成をお願いしたい.
Ⅰ. 夏場の冷房: 《伝統的な萱ぶき屋根》では 雨を萱の髄まで染み込ませて,保水し,
それを暑い晴天時に,蒸発させて気化熱で家屋内部に冷気を落とす.
現代技術で → 《気化冷却波鋼板屋根》
仕掛け; ①工場の屋根で使う《波鋼板》を屋根梁に張り,その上側に,《気化促進絨毛シート》※を張って屋根を造る.
※ この《気化促進絨毛シート》は,機能条件,及び 製造方法も含めて,次頁で改めて考究をする.
★ 実際には この《気化促進絨毛シート》を貼った波鋼板を,メーカ‐で事前に製造してもらうことになる.
② 現在のエクセルギーハウスで行っている‘2階天井に鋼板を張って屋根裏部屋で気化させる方式’ではなく,この《気化冷却波鋼板》を使って,屋根の梁に設置して,この屋根に.水を滴下して,蒸発気化熱を生み出す.屋根裏空間すべてを これで冷やして,家屋全体に配る.
《気化促進絨毛シート》について,現行の製品化技術では,3つの気化性能レベルがある.
それらの建築材料の開発完成にしたがって 選択・使用することになる;
第1気化性能レベル; 現行のエクセルギーハウスで 既に使われている《グラスウール》
気化性能は,夏場の外気温よりも,2階室内を5℃下げられ,高断熱の家屋全体が,冷やされ,猛暑日外気温35℃以上のとき,430Wのエアコンを補助として使えば,充分である.
第2段階性能レベル; 既にメーカ‐によって製品化されている素材を加工して使う.
屋根全面が 気化冷却パネルとなっている設計で,猛暑日でも,エアコンの補助なしでも 家屋の住空間が,快適性維持をできる性能レベルを狙ったもの.
第3段階性能レベル; 全く新たに,提起した製品を開発して使用するもの
気化冷却が,冷エクセルギーの分離であるという原理の過程の核心を捉えて, 全く新たに,素材設計を提起して開発する.この開発製品は,汎用であり,広範囲な建造物に適用ができる.
冷空気から除湿して部屋に降ろす.
③ 2階の天井を《除湿フィルターすだれ》※にして,冷気を家屋全体に降ろす.
★ この冷気から,湿気を抜くために,萱ぶき養蚕農家家屋では,《すだれ天井》でやっていたが,機能が不十分なので,《除湿フィルターすだれ》にする
※ 製品化されている《ゴアテックス生地》のような,通気・除湿機能を繊維シートでつくったものである.
付帯設備について ; これは 施工の重要な留意事項である.
大事なことは,蒸発気化を促進するには,その蒸発現場での飽和性の迅速な除去である.『湿り空気線図』をみると,これが一目で分る.このことを 線図から読み解いてみよう;
気化冷却装置の性能成果を示す数値は 《湿球温度計の温度が,その時の 気化鋼板の温度である.》
猛暑日外気温35℃のとき(乾球温度温度),
相対湿度60%では,湿球温度は 26℃となり,同湿度で80%弱では,30℃となる.
気化蒸発現場で,この20%の湿度差をつくりだすには,この現場に,風を当てて,つくることである.これは,我々が既に体験済みで,衣類を干す時の大事なコツであったはずだ.
ということで,次の付帯設備を重視してほしい.
1. 必ず,軒下側に吸気, 屋根天辺側に排気口をつけること.
★ 横一列に並んだ全ての口をまとめて開閉する自動開閉装置がいい.既に高窓の開閉機が作られているので,それを使う.
2. 三角形屋根の天辺の排気口には,自然風利用の風力回転ファンを取り付け,排気促進を図ると,さらにいい結果が出る.
★ これは,今までのエクセルギーハウスでは 設備してなかったが,長筒型の大変優れたプロペラファンが開発されている.自然風力利用ということで,夏場の気化促進の排風と,同時に,それ以外のシーズンでは,発電用に使うことは,大変おもしろいと思う.晴天でなくても,夜間でも稼動する.特に,冬場において,風が 強いシーズン(あるいは地方)では,自然エネルギーの利用としては,大変有効である.
★これは 屋根の天辺に そのまま,萱ぶき屋根の腰屋根の代わりに取り付けるというものである.見た目もそんなに大げさでなく, 家屋景観も悪くはない.一般家庭で 風エネルギーの利用の形態は,この屋根天辺横筒ファンが一番いい方法と思えないか.住居における風の利用は,気化促進と,家屋内の優しい微風と排気に併せて,その電力化がいいだろう.これによって,エクセルギーハウスの自然循環性エネルギーの利用,制御と調整は,太陽光,風と雨,大気熱,環境輻射,気化熱と,多様にして完結する.
※ 雪の利用は,住居家屋ではどうするのか,まだ未解決である.住居にとって,雪は 除雪を強いる厄介者であるのだろうか.それとも,雪もまた,素晴しいエクセルギーとなりうるのか,雪の女王となるようにさせる 知恵ある騎士の登場を期待している.
従来の屋根概念を変える.
《波鋼板屋根造り・気化冷却方式》の有利四点
M1; 効果量増倍
この《波鋼板屋根滴下方式》の方が,現行のエクセルギーハウス《平鋼板天井滴下方式》よりも,家屋2階建坪の面積を丸々 この気化面積とすることができ,加えて 正三角形図形形状から,面積は2倍になり,その上で 吸気口・排気口の風の道がついているので,冷エクセルギーの取出しには,効果的である.さらに,これに ファンで強制送風してもいい.加えて,《気化促進絨毛シート》を貼り付けるのであり,おそらく 従来の《ガラスウールを貼った鋼板の天井滴下方式》と較べて,冷エクセルギーは,総合すると 4倍ぐらいに成果量は多くなろう.
M2; 除湿フィルター併用可
現行の《平鋼板天井滴下方式》エクセルギーハウスでも,鋼板天井の気化によって得られる冷気は,湿っぽくて,天窓を開けて除湿する,あるいは 夏場でも,1階屋根の軒下に布団を出して乾かすなどの工夫が必要であった.《波鋼板屋根滴下方式》では,屋根裏の冷気を 天井に除湿フィルタ‐を張って,そこに通して降ろすことで,これを解決することができる.天井鋼板滴下方式では,部屋に直接接して稼動させており,除湿機能を持たすことは,新たな発明が必要である.
M3; 工法の簡便さと建築単価
《波鋼板屋根方式》は,《平鋼板天井方式》のように,屋根裏に,南北窓をつけ,高くて大きくする必要がなく,屋根そのもので蒸発気化冷却をなすのであり,構造が特殊でないので 屋根・天井の張替え改修でも可能で,一般普及しやすいだろう.そして,波板屋根造作は,波板自身が梁となっていること,及び 屋根裏が必要としないということで,工場屋根や鉄道ホーム屋根と同じく,工法も簡単であり,建築単価も安く造作できる.
M4; 4種類の機能性パネルを設置しやすい
《波鋼板屋根方式》は,屋根そのものが梁であり,構造枠である.となると,従来のように,屋根の上にいろいろの機能性パネルを載せる工法ではなく,合体して設置する工法となる.屋根が,四層で一体の設置工法ができる.こうして 屋根工法は簡単となり,より広く・容易に 機能性パネルを設置できることになる.太陽光発電パネルは,その寿命が20年ぐらいと言われている.この20年間隔ぐらいの屋根パネルの葺き替えでも,パネル一体型の《波鋼板屋根方式》ならば,現行の太陽光発電パネルのような,屋根の上に架台を設置するという大変な施工,したがってその張替え工事の大変さとも違って,容易に,合理的に,安価に,張替え工事が可能となる.
テレビ放映される
自然の循環性に生きる家; エクセルギーハウス
BS朝日で放映予定
【参考資料】
気化熱の威力,及び 屋根に降り注ぐ雨,太陽光エネルギー量の計算
(エクセルギーハウス技術開発研究所 2014.9.6 計算)
詳しくは,『我が家の屋根には 年間どのくらいの 太陽光と雨が 降りそそいでいるのだろうか.そのエクセルギーはどのくらいなのか,計算する』※を参照してほしい. 以下にその要点を述べる;
※このレポートは,BS朝日の番組『緑のコトノハ』で,2014年10月20日午後8時54分より5回シリーズで放映される番組のために 作成された資料の要点である.
◇ 雨,太陽光を受ける屋根の広さ
以下は 2階屋根の広さの概算;2階の建坪で,5×6間=30帖分;99 ㎡ の家屋での計算である.
◇ 一軒の屋根の降雨量
東京都年間降雨量(1981~2010年平均1529ミリ=1.5 メートル ∴ 1.5m×99㎡=148.5 トン
◇ 水の気化熱
《萱ぶき屋根の家》の仕組みと同じ原理で,水の気化熱を利用して,家屋の冷房をするエクセルギーハウスの場合,エアコンと能力を比較してみる.
1)気化熱量は,1cc(1gのこと)当り539.8cal(100℃の沸点での蒸発熱)であるが,気温35℃(夏場猛暑日)のときは,577cal となるので, 水の蒸発熱1cc 580cal=0.58kcal として計算する.
2)消費電力500Wのエアコン稼動と同じ冷房能力は, どのくらいの水の気化熱と等しいのか
計算してみる.
①消費電力と冷房能力の比率は,機器ごとに《成績係数COP》として表示されているので,それを一応 COP=5としよう.そうすると,2.5kWの冷房能力となる.これをカロリーに直すと,1cal=4.18J より,
1時間の冷房性能は,1kW=860kcalなので,2.5×860kcal=2150kcalとなる.
②しかし,それを常時稼動させているわけではなく,センサー管理によって 稼動は1/2~1/4ぐらいという.
そうすると,エアコン稼動は12時間,その1/4として3時間分の稼動冷房量は,6450kcalとなる.これは,1)の換算式より,水の気化熱量としては,11Lの水量蒸発分となる.
③気化方式のエクセルギーハウスは,24時間稼動であるので,この冷却カロリーと等しい気化量は,1時間当りの気化水量は,0.46Lになる.ペットボトルの4分の1ぐらいを 1時間で蒸発させる性能があればいい.
性能比較すると,エクセルギーハウスでは,1時間1平米当り 460cc/99㎡≒4.6cc,1日では1平米当り,110gを気化させれば,24時間で,消費電力500Wのエアコンと同等の冷却効果となる.
◇ 大気熱・風 水の気化に対する凄さ
大気熱,及び 自然風が,水の気化に対する性能はどれくらいなものかを計ってみる.それは,何のことはない.日常的にやっている家事である洗濯物で分かる.サイズ76cm×33cm=0.25㎡(この面積の裏表両方分としてみることになる.)のタオルで,水にぬらして脱水した重さは,210gで,それを乾燥させると 130gとなった.その差80gが真夏日の日中,半日陰4時間ぐらいで,乾燥してしまうということになる.
《伝統的な萱ぶき屋根》では 夏場の冷房として,雨を萱の髄まで染み込ませて,保水し,それを暑い晴天時に,蒸発させて気化熱で家屋内部に冷気を落とす仕組みを造っているが,その物理的な根拠がここにある.
ナンと 水は偉大なことか.戦前において既に,ブルーノ・タウトは 『日本美の再発見』(岩波新書1939年刊)において,《和の伝統的な建築》の素晴しさを絶賛したが,萱ぶきの屋根における 雨水の働きを巧みに使う建築技術の素晴しい知恵に驚嘆したものであった.日本建築は,自然素材を生かして,自然の循環性との共生の建築として,その機能性を進化させた結晶である.タウトは,桂離宮の美しさを賞賛したが,その美しさの本質は,ここにあると言えないか.自然との共生・交流,その機能化,機能の究極形としての美である.
現代技術では,これを 《波鋼板》を屋根梁に張り,その上側に,《気化促進絨毛シート》を張った屋根を造って行う.それがエクセルギーハウスの仕掛けである.
この気化能力は,直射日光が当たらない 風通しのいい屋根上,あるいは,屋根裏での 1平米当りの気化量では,どのくらいなのであろうか.24時間行うと,80g×6倍時間×(1平米は タオル面積の片面分の8倍)=3840gである.しかし,暗室であり,夜は 気温も低くなろう.気化量は,タオルの半分ぐらいとして,さらに,タオルと異なって,水でぬらしたグラスウールを鋼板に敷いて気化させるのであり,性能が落ちて,1/4として,併せて,1日480gぐらいになろう.
大気熱・風もまた,大した威力である.上記の家屋気化で必要な冷熱量の,およそ4倍に当たる.面気化方式において,親水性・熱伝導性素材を生かして,熱採集の技術を高めれば,この機能レベルまでは,実現できるということである.
◇ 太陽光とエネルギー量
『NEDO日射量データベース』「年平均全天日射量の平年値」より
年間では,1㎡当りで,12MJ/㎡・日=12MJ/㎡×365日
これを kWに変換すると =12×365×0.2778kWh =1215kWh
我が家では 1215kWh×99㎡=120329kWh =12万kWh ・・・(H)
★ 一般の住居屋根には,年間電力使用量の およそ50倍の熱エネルギーが降り注いでいることになる.
★ 原発と比較すると,1基最大出力100万kWの場合,
電力量は年間75%稼動 6500時間で,650000万kWh ・・・・(A)
A/H=650000÷12=650万所帯屋根(千代田区の面積相当)に降り注ぐ太陽光エネルギーとなる.
別のデータでは,『東京都環境局; ソーラ‐屋根台帳』の,地点別で「府中の年次発電量」を読み取ると;
4kW発電パネル(200wh性能を20枚)を載せると 年間発電量 3841kWh/年
※上記発電量は,我が家に降り注ぐ太陽光へ津伝エネルギーの 12%相当である.
;一般家庭の年間の使用電力量をおよそ 2400kWh とすると,その 1.6倍 となる.
以上の計算で 自然の循環性に生きるエクセルギーハウスの根拠が分っていただけると思う.
雨,そして雪
風
太陽光
大気熱
環境輻射熱
これらの自然エネルギー・物質は 大量に降り注ぎ,大量に家屋に当たっているのである.これらの自然エネルギー・物質の利用;交流と共生は,萱ぶき屋根の養蚕農家に 建築の進化の典型が見られる.それを 現代の技術に用いて,都市部でも実現できないのか,探究され,模索試行がなされている.エクセルギーハウスは,その一つの提案である.